2022年6月22日水曜日

『酒造り』界からみた男女共同参画

5月28日(土)14時から、塩原公民館男女共同参画協議会(会長 帆足裕子)主催による講座が開催されました。

テーマは、「『酒造り』界からみた男女共同参画  ~日本酒の話もちょっぴり~

講師には、 大川市 若波酒造合名会社 八代目杜氏 今村 友香さん をお招きしました。

30名くらいの方が、参加してくださいました。

 長らく男社会とされてきた酒蔵で、どのように活躍の場 を作り上げていったのか。

始めに講師の紹介があり、原口學公民館館長より挨拶です。

まずは、日本酒のお話からです。
 清酒とは…
   米、米麴、水を原料として発行させて濾したものです。
    濾さないのは、「どぶろく」といいます。

   純米酒には、精米の歩合によって、歩合の低いものから純米大吟醸(精米歩合50%以下)、純米吟醸・特別純米酒(精米歩合60%以下)、純米酒(規制なし)に分類されます。

   本醸造酒は、米、米麹、醸造アルコールが原料で、これも精米歩合によって、大吟醸、吟醸、特別本醸造、本醸造(精米歩合70%以下)に分類されます。

   その他の普通酒は、米、米麹、醸造アルコールに糖類・酸味料が含まれます。

 醸造アルコールとは…
  でんぷんなどから醸造されたアルコールです。
  清酒の香味を劣化させる乳酸菌(火落菌)の増殖を防止する効果もあります。

次に、日本酒の温度のお話です。
  燗は… 日向燗(30℃近辺)、人肌燗(35℃近辺)、ぬる燗(40℃近辺)、上燗(45℃近辺)、あつ燗(50℃近辺)、飛びきり燗(55度以上)
  冷やは… 雪冷え(5℃近辺)、花冷え(10℃近辺)、凉冷え(15℃近辺)
 色んな表現の仕方があって面白いです。

お酒は、健康的に楽しむ事が大事です。
 お酒を全く飲まないより、1日19g(日本酒1合未満)までのお酒を飲酒される方の方が、死亡リスクが低くなっているそうです。
1日19gは、日本酒なら1合、ワインならグラス1杯、ビールなら中ビン1本程度です。

そして、必要なんのが「和らぎ水(やわらぎみず)」です。
洋酒にチェイサーという飲み方があるように、日本酒にも水というスタイルがいいそうです。

いったんここで、お酒についての質問タイムです。
 ・甘酒とは…米、米麹でできたお米のジュースです。(酵母を入れない)
 ・粕とは…アルコールが2%をきっているものが食品に分類される。
     微量のアルコールを含んでいることがあるので、注意が必要。
 ・にごり酒、白酒の違いは…いろんな文化の中で表現として呼ばれている。
 
 ・日本酒は…
   空気に触れると劣化するが腐ることはない。
   アルコールを含んでいるので塾生が進む。
   光や温度の変化にには弱いので、箱のまま冷やすか、新聞紙などに包んで冷蔵庫での保存がお勧め
 ・3年寝かせたら古酒、7年以上が大古酒

ここからが、杜氏になられた経緯などのお話です。
  大学を卒業後、ご家族の体調が悪くなり、いったん事務などをするためにを若波酒造でお仕事をはじめられました。(お酒造りには全く興味が持てず、なんとなくとげとげして過ごしていたそうです。)
  酒造りは、秋にお米が出来上がり、冬から春にかけて1年分の酒造りをします。
  冬場の早朝、白い息を吐きながら作業している蔵人達をみて、だんだんともろみに愛着がわいてきて酒造りの風景に入ってみたいという思いになられたそうです。
その当時、酒造りは女人禁制だったのもあり、蔵人たちの和を乱すので酒造りに参加するのはダメと言われていましたが、毎朝、蔵人たちの後ろをついて回っていたそうです。

2年目、酒造りがしたいと強く思っても、酒蔵の中に居場所はなし…(事務室の机なども片付けられてしまいます。)
それでも、時間が出来たら蔵に入って文献などを読んでいたそうです

その後、別の研究所で6年間修業をし、「あまおうのお酒」を若波酒造より先に、広島の研究所で作り、これが戻ってこられるきっかけになりました。
あまおうのお酒は、福岡産業デザイン賞などを受賞されました。
 
また、お酒を置く棚や、机や椅子などは大川家具に依頼をされているそうです。
「お酒で人を呼ぶ」ということで、異業種の方々と色んなイベントも開催されています。

女性男性にかかわらずみんなが平等で働くために、色んなアイディアを出し合っています。
蔵人の道具も背の小さく力のない女性でも男性と同じように作業できるように、工夫をした酒造りの道具を作ってもらったりされたそうです。
手抜きをするのではなく、健康で安全にみんなが作業できるように、それぞれの個性と特性をパズルのように合わせ、みんなで目標を達成していくことが大事。
現在、色んな年齢の方が働いておられ6割が女性の方で、子育て中の職員の方もおられるため、夜間作業をしていたのを機械を導入しやめるなど、働きやすい職場にかえていかれています。
「覚悟を持ちなさい。」と先輩の杜氏さんに言われ、歴史を背負っていく覚悟を決め、九州でただ一人の女性杜氏の今村さん。
ご家族が体調を崩されて、つらい時代があったから今があるとお話してくださいました。
最後は、男女共同参画協議会 帆足会長より、お礼の言葉です。
若波酒造に見学に行ってみたいなと思いました。